ブータン王国ツェリング・トブゲイ首相御夫妻 公式訪問
日・ブータン首脳会談
4月11日、安倍首相は、
トブゲイ首相と首相官邸にて
会談を行った。両首相が会談
するのは、14年のトブゲイ
首相の訪日以来。
会談の冒頭、安倍首相は、
「皇室・王室関係者の往来、経
済協力などを通じて培われた
信頼に裏打ちされた日本と
ブータンの友好関係を政治、経済、文化、人的交流を含め
たあらゆる分野で一層発展させていきたい」と述べた。
トブゲイ首相は、日本によるおもてなしへの感謝と、これ
までの日本からの経済協力に対して謝意を述べ、後発開発途
上国(LDC)からの卒業を目指し、第十二次五ヵ年計画が
7月から開始されるので日本からの支援を期待する旨を
伝えた。
会談の内容は、経済協力と
人的交流が主となった。安倍
首相は、「人づくりこそ国の発
展の基礎」と強調。ブータン
政府の若手官僚を対象に日本
での研修事業を通して経済社
会開発を支援していく考えを
明らかにした。トブゲイ首相
は、日本からの友情と支援に
対して感謝の意をあらわした。
両首相は、北朝鮮問題につ
いては核・ミサイルの廃棄を実
現するために、最大限の圧力
を維持しなければならないこ
とを再確認した。また安倍首相はトブゲイ首相に、日本の
抱える拉致問題の早期解決への理解と協力を求め、トブゲイ
首相からの支持を得た。
ブータン王国は、最大の貿易相手国のインドに経済面で長く依存してきた。
2000年代以降、中国との国交樹立に向けての動きは、反発したインドが13年に経済支援の一部を突然廃止したために立ち消えになった。
両大国の狭間に位置する国として、双方との友好関係維持を試みている。隣国との問題を抱えるブータン王国であるが故に、トブゲイ首相は、日本が直面する北朝鮮問題に深く支持を示したと思われる。
河野外相、トブゲイ首相を旧吉田邸に招く
4月13日、トブゲイ首相御一行を神奈川県大磯町にある旧吉田茂邸
に招き、夕食会を開催した。ブータン王国は2020年の東京五輪・
パラリンピックの事前キャンプを同町内で開催することが決まっており、
会談の冒頭では、河野外相が「金メダル獲得を」と激励の言葉を述べた。
ドルジ外相は、「歴史的建造物にお招き頂き、嬉しく思う。実りある
訪日となった」と話し、トブゲイ首相の今回の訪問は非常に充実した
ものであったと述べた。
河野大臣は、皇室・王室の往来、64年の農業専門家である西岡京治氏
派遣依頼の対ブータン支援の成果などに言及し、今後もブータンの経済
社会開発への支援を継続し、ボランティア派遣を検討する旨を伝えた。
河野外相 ブータン訪問
河野外相は、6月22日から
ブータンを訪問。初の日本閣
僚のブータン訪問となった。
医療、人材育成への支援をす
ることで合意した。
時事特集 外国人就労拡大
安倍晋三首相は、6月5日の経済財政諮問会議で外国人労働者
の受け入れ拡大を表明した。安倍首相は、諮問会議で地方の中小
小規模事業者の人手不足の深刻さを説明し、「移民政策」とは異な
る旨を強調した上で、「一定の専門性や技能を持つ即戦力の外国か
らの人材を幅広く受け入れる仕組みを早急に構築する」と訴えた。
日本の労働人口は約6600万人。昨年10月末時点で、外国人労
働者は約127万人で、労働力の約50人に一人は外国人ということ
になる。
外国からやってくる技能実習生や留学生アルバイトの数は増えて
いることは言うまでもないが、職場において言葉文化の壁が高いの
が現状である。学ぶという強い意欲を抱いて来日した留学生で
さえ、「習慣の違い」や「日本語の習得」に苦労している。
雇用側も、外国人労働者への対応に不慣れな現場が多く、こうし
た問題に対する整備を敷くことは政府として急務である。
ブータン政府によると700名以上のブータン人留学生が在留し
ているが、在東京ブータン名誉総領事館でも、在留ブータン人が
直面する問題についての問い合わせ、相談を頻繁に受ける。
「ジャパニーズドリーム」を現実にしたいと高い志を抱き、留学斡旋
業社に多額の借金をして授業料を支払い、昼夜惜しまずアルバイト
を掛け持ちし、学業よりも留学費の借金返済に追われるケースも
ある。「週28時間以内」の就労制限違反にもなり兼ねず、借金を
返済できないという深刻な問題に悩まされる。
その結果、日本に対して失望して母国へ帰ることを余儀なくされ
るケースも多くある。ブータン人だけに限られないが、日本政府に
よる外国人留学生の実態把握、問題への対策が大いに期待される。